・『藤子・F・不二雄大全集』公式サイト
嬉しい事であっても、あまりに予想外だと、とっさにはどう反応していいか分からなくなってしまう。今回の『藤子・F・不二雄大全集』刊行決定の発表は、まさにそれだ。
F先生の没後に出た単行本と言えば、『ドラえもん プラス』や一連のぴっかぴかコミックスなど、これまでの単行本を補完するような内容がほとんどだったので、小学館と藤子プロが「全集」を出す決断をするとは、正直言って今までほとんど期待していなかった。
昨年出た『T・Pぼん スペシャル版』の時も、全35話中の33話収録と言う中途半端な内容だったが、「今の状況ではこれが限界なのだろうな」と、3話の単行本初収録を喜びつつ、その一方でさめた気持ちもあった。
そんなところに、いきなりのこの発表だ。
公式サイトを見ると、「藤子・F・不二雄先生の生み出された漫画作品完全網羅を目指し」と、非常に頼もしい事が書いてあるし、第1期の予定には『オバケのQ太郎』『海の王子』も挙げられている。ほぼ全編合作扱いの『海の王子』が出るのだから、『オバQ』も旧作を収録するのだろう。長い間待ち望んだ「新」の付かない『オバQ』の単行本が、とうとう復活する。
これは、本気で「夢たしかめ機」を使いたくなるくらいに信じられない気分だ。関係者の皆様、よくぞ決断してくれました。
内容的には、これまでほとんど単行本されていなかったデビュー直後~昭和30年代初期作品が楽しみだ。
『すすめろぼけっと』『てぶくろてっちゃん』など、ファンの間でタイトルは知られていても、一度も単行本化されておらず、かつ初出誌にあたるのも難しいために埋もれている作品は多い。
また、『海の王子』や『オバQ』が出せるのなら、当然それ以外の合作作品の刊行も可能だろう。『仙べえ』や『チンタラ神ちゃん』、『ジロキチ』『名犬タンタン』などなど、挙げていくときりがない。
第1期ラインナップには既に何度も単行本が出ている作品が多いが、そのようなタイトルでも今回は「全集」だからこそ出来るであろう編集の工夫に期待したい。
具体的に言えば、F作品に多い「学年誌複数同時連載作品」については、雑誌別の収録にして連載時の話の流れを追えるようにして欲しい。雑誌ごとの解説も付けば、なおわかりやすくていいだろう。と言っても、FFランドの「○○百科」のような形では安っぽいので、解説ならもっと本格的なものを希望するが。
また、判型がA5というのも嬉しい。藤子不二雄ランドは言うに及ばず、手塚全集や石ノ森全集もB6判だが、どうせなら漫画は大きいサイズで読んだ方が迫力がある。本文が300~600ページほどなら、バランス的にもA5判の方が適しているだろう。
その他にも、装丁・編集方針・作品解説の有無など、気になる点はたくさんあるが、それは追々発表されていくのだろう。
価格も気になるところだが、このさい多少割高になってもいいから、本当に「全集」と言える完璧に近い内容を目指していただきたい。ある程度高くても、月2~3冊なら何とか買えるだろう。石ノ森全集のようなセット販売のみになってしまうと困るが。
全集についての期待を書いているときりがないので、今回はここまでにしておく。
まずは全集を迎える準備として、7月までに本棚に空きを作っておかなければ。すでに本棚からあふれて積んでいる本も多いが、さすがに『藤子・F・不二雄全集』をそんな扱いで置いておくわけにはいかない。
刊行開始まで4ヶ月、続報を楽しみに待つとしよう。