今年は、例年と違ってドラえもん映画の公開が2月下旬となった。
それでも、例年通り2月28日に名古屋で藤子ファン仲間と映画を観てきた。その感想を、ここに書いておく。これも例年通りだが、内容には思いっきり触れているので、特に未見の方はご注意を。
今年は、1983年公開の「ドラえもん のび太の海底鬼岩城」のリメイクであり、オリジナルから数えて43年という年月が経っているので、いろいろと現代の価値観に合うようなアップデートがなされているだろうと予想していた。
監督は矢嶋哲生氏。テレビアニメ版『ドラえもん』で何度か絵コンテ・演出を担当しているほか、映画ドラえもんでは「新・のび太と鉄人兵団 ~はばたけ天使たち~」の絵コンテ(寺本幸代監督と共同)、「のび太の地球交響楽」の演出(堂山卓見・渡辺葉・小笠原卓也の三氏と共同)などで参加してきた。
脚本は村山功氏で、やはりテレビアニメ版『ドラえもん』への参加を経て、今回が映画ドラえもん初脚本となった。個人的には、プリキュアシリーズでのシリーズ構成・脚本としての印象が強い。
キャラクターデザイン・総作画監督は冨樫友紀氏。この方については知識不足で、「のび太の地球交響楽」にサブキャラクター・絵本デザイン・作画監督・原画で参加している以外のドラえもん関連の仕事はわからなかった。前述したとおり、「のび太の地球交響楽」は矢嶋哲生氏が演出の一人なので、その縁での本作への参加なのかもしれない。
原画にはけっこう豪華なメンバーが参加していたが、例によってパンフレットには記載がないので、また映画を観ないと確認できない。
スタッフについてはこれくらいにして、感想を書いていこう。
今回は、よかった点と気になった点を箇条書きにしてみる。
<よかった点>
・アバンタイトルが旧作映画を思わせる導入だった
・オープニングが「夢をかなえてドラえもん」の1分30秒版だった
・旧作映画にはなかった、とりあえずドラえもんとのび太の二人で海に入る展開があった
・ママの「怖い顔」がけっこう怖かった
・テントアパートでのトイレの使い方の説明があった
・鬼角弾が「バリア外」に存在することを明言した
・鬼岩城突入直前の「宿題とはそんなに…」のやりとりが微笑ましかった
・しずかちゃんの「涙」の場面はきれいだった
・ゲスト芸能人が全員チョイ役だったので演技が気にならなかった
・しずかちゃんの作画に気合いが入っていた
<気になった点>
・親たちの出番(とくに、スネ夫のママとジャイアンのママ)がカット
・海底キャンプも一部場面をカット
・トリラインの存在で、「どこにあるかわからない」鬼岩城の神秘性が薄れた
・アトランチスに入ってから鬼岩城突入までがやや緊張感に欠ける
・ポセイドンが女性を殺さなかった理由が「女性を知りたいから」に変更
・ポセイドンの攻撃が手ぬるい
・最後のエルの「こころ」に関する演説がいらない
とりあえずは、こんなところだろうか。もう一度観れば、またいろいろと気がつくかもしれないが。
原作及び旧作映画を知っているから仕方がないのかもしれないが、海底キャンプも鬼岩城突入までの行程も「あれ、これだけ?」と言いたくなるくらいにあっさりしていると感じてしまった。
それだけ原作からカットしている部分があるわけだが、その代わりに海底人について掘り下げられるだろうなというのは予想の範囲内だった。
ただ、その掘り下げ方が、「ずーっと長い間ポセイドンにおびえて暮らしてきた」というようなものになるとは思わなかった。せっかく、海底人が原作とは異なる姿に設定されているのだから、もう少し海底人の生態などについての説明があるかと思っていたのだ。
そして、最後のエルの演説。あたかもそれまでの海底人には「こころ」がなかったかのように語るのには、違和感を覚えた。いいか悪いかは別として、「ポセイドンにおびえる」のも立派な心の働きだろうし、そもそも生物に心がないわけがない。
水中バギーの行動が、海底人の心を動かしたのだという展開にしたかったのはわかるが、少々無理を感じてしまった。
よかった点についても触れておくと、鬼角弾がバリアの外にあることを明言したのは、個人的にかなりすっきりした。残りの鬼角弾もバリア内にあるのならば、わざわざ止めに行く必要もないわけで、その点はどうなんだろうと原作&旧作映画では気になっていたのだ。
また、のび太たちとエルだけに作戦を任せるのではなく、他の兵士たちもバトルフィッシュや鬼角弾に対して動いていたことを描いたのもよかった。
水中バギーの「こころ」を知る過程についても触れておこう。
アトランチスに入って「自己防衛システム」で動けなくなったバギーが、最後はしずかちゃんの危機に、バギー曰くの「バグ」でそのシステムを打ち破ってポセイドンに突っ込んでいくという展開はよかった。これは、さんざん「こころ」について積み重ねてきた成果だろう。
ただ、バギーが交流する相手にのび太が加わったために、やや焦点がぼやけてしまった感は否めない。タイトルに「のび太の」と付いているとは言え、交流する相手は原作通りにしずかちゃん一人に絞った方が、最後の怒りにも説得力が出たと思う。
全体としては、大筋で原作通りの展開を描いていた点は評価できる。バギー生存エンドだけはやめてくれと思っていたので。
ただ、本作での新要素に上手くかみ合わない面もあり、いまいち素直に作品に没入することができなかった。個人的には、100点を満点とすると本作は70点くらいだ。決して悪くはないが、絶賛するほどでもない。そんな感じだ。
また、箇条書きの所でも触れたが、メインキャラに芸能人の出演者が声をあてなかった点は、大いに評価したい。おかげで、声の演技に関してはまったく気にならず、作品に集中できた。正直言って、海底人の首相あたりはどうなるか怪しいと思っていたのだ。
これは、よほど昨年のパルの評判が悪かったのではないだろうか。そうだとすれば、当ブログで思い切って酷評した甲斐があった。来年以降もこうであってほしい。
と、いったところで、今回の感想は終わりにさせていただく。
おまけ映像を見る限りでは、来年の映画はオリジナル作品となりそうだ。詳細はまったくわからないが、楽しみにしたい。