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高岡・氷見ツアー2026<第二日>氷見編

 ちょっと間が空いてしまったが、3月14日から15日にかけて訪れた高岡・氷見旅行の二日目は氷見市に行った。そちらも、ここに書いておく。

 朝の8時30分に高岡駅南口に集合して、車で氷見へと向かった。
 これまで何度か高岡・氷見には来ていたが、たいていはJR氷見線で高岡から氷見に向かっていたので、車で行ったのは新鮮だった。30分ほどで、氷見駅前に到着した。
 氷見駅前の広場には、以前に来た時にはなかった藤子不二雄A先生のイラストを用いたトリックアートが設置されている。右と左からで、異なる絵が見えるというものだ。ここでは、敢えて正面から撮った写真を紹介しておく。右と左からでそれぞれどんな絵が見えるかは、ご自身で確かめて下さい。
 また、タイミングがいいことに氷見駅にハットリくんのラッピング列車が来た時に居合わせることができた。駅への入場料をケチったので駅構外から列車を見たが、なかなかいい感じだった。広場には怪物くんバスも停まっており、藤子不二雄A先生のイラストを使った交通機関をたくさん見ることができたのはうれしかった。

 その後、氷見駅前に車をとめて、氷見市街を散策した。

 


 氷見市の商店街は「まんがロード」として、藤子A先生のキャラクターが盛りだくさんだ。『怪物くん』『忍者ハットリくん』『プロゴルファー猿』『笑ゥせぇるすまん』などのキャラクターの像に会えるほかに、やはり藤子A先生デザインの「氷見のサカナ紳士録」のモニュメントも設置されている。
 まんがロードを歩いていると、藤子A先生のキャラクターで街全体を盛り上げようという気持ちが伝わってくる。

 氷見市街の散策では、藤子A先生の生家である光禅寺も訪れた。
 ここも、私としては震災後は初めての訪問だったが、思った以上に被害を受けていて、ショックだった。写真は差し控えるが、現在も修繕工事の真っ最中で、いつ終わるかまだ見通しは立っていなさそうな感じだった。
 光禅寺にはボランティアの方がいて、藤子両先生にまつわる話などをお聞かせいただいた。いつもいるわけではないと思うが、ボランティアの方のお話しは色々な意味で非常に興味深かったので、聴けたのは幸いだった。

 そして、続いて氷見市潮風ギャラリーへ。氷見に来たら、ここを訪れない手はない。
 藤子A作品の複製原画が見られるが、前回来た時とはいくらか展示が変わっていたと思う。できれば複製でない本物の原画が観られればもっとうれしいが、これについてはおそらく色々と事情もあるのだろうし、無理は言わないでおこう。

 氷見市街には、他にアニメグッズのショップや『笑ゥせぇるすまん』グッズ推しの店などもあって、さすがに氷見という感じだった。

 このあたりから天候が怪しくなってきて、ポツポツと雨が降ってきた。前日にも感じたが、この地方はどうも天候が変わりやすいようだ。

 雨がぱらついてきた中で、潮風ギャラリーを出て道の駅「ひみ番屋街」へ。
 ここで昼食をとったが、さすがに日曜日の昼だけあって、かなり混んでいた。私も、ここへ来る時は主に土日か連休なので、この道の駅は常に混んでいる場所という印象がある。
 ちなみに、ここでの昼食休憩中に、WBCで日本代表がベネズエラに負けてしまった。帰ってから一試合くらいは観られると思っていたので、ちょっと残念だ。

 昼食後、氷見駅まで戻って、私はここで離脱した。私以外の皆さんは、ここから車で岐阜・名古屋方面で帰るのだ。

 

 氷見駅から氷見線に乗って、高岡駅へ。15時42分高岡駅発の城端線に乗って、大阪駅着が19時7分。行きより時間がかかっているが、主に乗り換えの待ち時間が行きより長いためだ。
 とにかく、無事に帰ることができた。今回の旅行は、私は乗っかかっただけで、立案・計画してくれた方々のおかげで楽しい旅行となった。とくに、車を出して下さった某さん(一日目に激河大介ごっこをやった方でもある)には感謝だ。
 もちろん、同行して下さった全ての方々に感謝しております。ありがとうございました。

 

<第二日終了>

高岡・氷見ツアー2026<第一日>高岡編

 3月14日から15日にかけて、藤子不二雄両先生のファンにとっての聖地である富山県高岡市&氷見市を旅行してきた。私にとっては、以前に訪れてから数えて3年ぶりだ。

 

 過去、何度かこの両地を訪れたことがあるが、最近は一人で行くことが多かった。
 しかし、今回は東海地方の藤子ファンを中心とした総勢9名のメンバーで訪れた。実は、「みんなで高岡・氷見に行こう」という話は数年前から出ていたのだが、新型コロナの流行などがあったために予定が先延ばしとなって、最終的に今回の旅行となったのだ。
 今回、私以外の8名は名古屋・岐阜方面から車に相乗りしての旅となったが、私だけは関西在住のため特急サンダーバードと北陸新幹線を利用して、直接高岡へと向かった。
 7時40分大阪発のサンダーバードに乗って、高岡駅着が10時29分。以前と比べると若干早くなったと思うが、それでも敦賀で乗り換えるのが微妙に面倒くさい。はやく北陸新幹線で直通してくれと思わずにはいられないが、はたしていつになることやら。

 

 車組より早く着いたので、とりあえずは高岡市立図書館へ。ここには藤子両先生のコーナーがあるほかに、『ドラえもん』初出のコピーをまとめた本が閲覧できる。なので、『ドラえもん』初出データの調査を30分ちょっと行った。
 その後、車で来た8名と合流して昼食へ。『まんが道』で満賀が竹葉さんとのデートで行った店のカレーの味を受け継ぐ店があるというので、そこで全員がビーフカレーをいただいた。
 私は初めて行った店だが、実際に食べてみると今まで食べたどのカレーとも異なる味わいで、たいへん美味しかった。さすがに、満賀が「高岡ではカレーライスが一番おいしいとこなんだ」と言うだけのことはあった。

 

 

 カレーの後は、どら焼き専門店で焼きたてアツアツのどら焼きをいただいた。
 サイズは大・中・小にわかれており、私は中を頼んだが、実物を見てみると小でもじゅうぶんに大きく、中はかなりのボリュームで食べ応えがあった。もし大だと、食べるのが大変だっただろう。この店は、実際に作るところが見られるようになっており、プロがどら焼きを作る過程は初めて見たが、なかなか興味深かった。

 

 

 色々と食べた後は、高岡大仏や藤子・F・不二雄ふるさとギャラリー、高岡おとぎの森公園、高岡古城公園などを廻った。
 中でも、高岡市街から少し離れている高岡おとぎの森公園は個人的には初めて行った場所で、ドラえもんたちの像も初めて見たが、なかなかよくできていた。他に、ここにはドラえもんの日時計もあり、いくつかのひみつ道具も刻まれている。

 

 

 高岡古城公園は、『まんが道』に登場することでファンには知られている。今回は、同行した某さんが、私の持参した『新寶島』の単行本(もちろん復刻版)を使って「激河大介ごっこ」をしたが、端から見ると漫画を顔に乗せて寝ている人物をみんなで眺めて写真を撮ったりしているので、怪しげな集団と思われたかもしれない。
 激河大介ごっこをしたふたつ山だけでなく、高岡古城公園は『まんが道』的に見どころが多いが、今回は夕方になっていたこともあって、やや駆け足となった。次回は、またじっくりと時間を取って廻るのもいいかもしれない。とにかく、無性に心が躍る場所だ。

 

 市内各所を廻って、18時頃に地元有志によるF&Aの会が運営する「定塚ギャラリー」へ。
 ここでは、9月を除く奇数月の第2土曜日に「藤子不二雄を語る会」が開催されており、今回は我々も参加させていただいた。会の詳細などについては触れないが、地元の方々の熱意を感じるいい会だった。会では色々な企画も検討されているようで、今後も楽しみだ。

 

 

 21時頃に定塚ギャラリーを出て、この日の宿へ。
 けっこう色々なところを廻ったのでかなり疲れたが、非常に楽しかった。ホテルでは、テレビを観てダラダラしているうちに、いつの間にか眠ってしまった。

 

<第一日終了>

 

「映画ドラえもん 新・のび太の 海底鬼岩城」感想

 今年は、例年と違ってドラえもん映画の公開が2月下旬となった。
 それでも、例年通り2月28日に名古屋で藤子ファン仲間と映画を観てきた。その感想を、ここに書いておく。これも例年通りだが、内容には思いっきり触れているので、特に未見の方はご注意を

 

 今年は、1983年公開の「ドラえもん のび太の海底鬼岩城」のリメイクであり、オリジナルから数えて43年という年月が経っているので、いろいろと現代の価値観に合うようなアップデートがなされているだろうと予想していた。
 監督は矢嶋哲生氏。テレビアニメ版『ドラえもん』で何度か絵コンテ・演出を担当しているほか、映画ドラえもんでは「新・のび太と鉄人兵団 ~はばたけ天使たち~」の絵コンテ(寺本幸代監督と共同)、「のび太の地球交響楽」の演出(堂山卓見・渡辺葉・小笠原卓也の三氏と共同)などで参加してきた。
 脚本は村山功氏で、やはりテレビアニメ版『ドラえもん』への参加を経て、今回が映画ドラえもん初脚本となった。個人的には、プリキュアシリーズでのシリーズ構成・脚本としての印象が強い。
 キャラクターデザイン・総作画監督は冨樫友紀氏。この方については知識不足で、「のび太の地球交響楽」にサブキャラクター・絵本デザイン・作画監督・原画で参加している以外のドラえもん関連の仕事はわからなかった。前述したとおり、「のび太の地球交響楽」は矢嶋哲生氏が演出の一人なので、その縁での本作への参加なのかもしれない。
 原画にはけっこう豪華なメンバーが参加していたが、例によってパンフレットには記載がないので、また映画を観ないと確認できない。

 スタッフについてはこれくらいにして、感想を書いていこう。
 今回は、よかった点と気になった点を箇条書きにしてみる。

 

<よかった点>

 ・アバンタイトルが旧作映画を思わせる導入だった
 ・オープニングが「夢をかなえてドラえもん」の1分30秒版だった
 ・旧作映画にはなかった、とりあえずドラえもんとのび太の二人で海に入る展開があった
 ・ママの「怖い顔」がけっこう怖かった
 ・テントアパートでのトイレの使い方の説明があった
 ・鬼角弾が「バリア外」に存在することを明言した
 ・鬼岩城突入直前の「宿題とはそんなに…」のやりとりが微笑ましかった
 ・しずかちゃんの「涙」の場面はきれいだった
 ・ゲスト芸能人が全員チョイ役だったので演技が気にならなかった
 ・しずかちゃんの作画に気合いが入っていた


<気になった点>
 ・親たちの出番(とくに、スネ夫のママとジャイアンのママ)がカット
 ・海底キャンプも一部場面をカット
 ・トリラインの存在で、「どこにあるかわからない」鬼岩城の神秘性が薄れた
 ・アトランチスに入ってから鬼岩城突入までがやや緊張感に欠ける
 ・ポセイドンが女性を殺さなかった理由が「女性を知りたいから」に変更
 ・ポセイドンの攻撃が手ぬるい
 ・最後のエルの「こころ」に関する演説がいらない

 

 とりあえずは、こんなところだろうか。もう一度観れば、またいろいろと気がつくかもしれないが。
 原作及び旧作映画を知っているから仕方がないのかもしれないが、海底キャンプも鬼岩城突入までの行程も「あれ、これだけ?」と言いたくなるくらいにあっさりしていると感じてしまった。
 それだけ原作からカットしている部分があるわけだが、その代わりに海底人について掘り下げられるだろうなというのは予想の範囲内だった。
 ただ、その掘り下げ方が、「ずーっと長い間ポセイドンにおびえて暮らしてきた」というようなものになるとは思わなかった。せっかく、海底人が原作とは異なる姿に設定されているのだから、もう少し海底人の生態などについての説明があるかと思っていたのだ。
 そして、最後のエルの演説。あたかもそれまでの海底人には「こころ」がなかったかのように語るのには、違和感を覚えた。いいか悪いかは別として、「ポセイドンにおびえる」のも立派な心の働きだろうし、そもそも生物に心がないわけがない。
 水中バギーの行動が、海底人の心を動かしたのだという展開にしたかったのはわかるが、少々無理を感じてしまった。

 よかった点についても触れておくと、鬼角弾がバリアの外にあることを明言したのは、個人的にかなりすっきりした。残りの鬼角弾もバリア内にあるのならば、わざわざ止めに行く必要もないわけで、その点はどうなんだろうと原作&旧作映画では気になっていたのだ。
 また、のび太たちとエルだけに作戦を任せるのではなく、他の兵士たちもバトルフィッシュや鬼角弾に対して動いていたことを描いたのもよかった。

 水中バギーの「こころ」を知る過程についても触れておこう。
 アトランチスに入って「自己防衛システム」で動けなくなったバギーが、最後はしずかちゃんの危機に、バギー曰くの「バグ」でそのシステムを打ち破ってポセイドンに突っ込んでいくという展開はよかった。これは、さんざん「こころ」について積み重ねてきた成果だろう。
 ただ、バギーが交流する相手にのび太が加わったために、やや焦点がぼやけてしまった感は否めない。タイトルに「のび太の」と付いているとは言え、交流する相手は原作通りにしずかちゃん一人に絞った方が、最後の怒りにも説得力が出たと思う。

 全体としては、大筋で原作通りの展開を描いていた点は評価できる。バギー生存エンドだけはやめてくれと思っていたので。
 ただ、本作での新要素に上手くかみ合わない面もあり、いまいち素直に作品に没入することができなかった。個人的には、100点を満点とすると本作は70点くらいだ。決して悪くはないが、絶賛するほどでもない。そんな感じだ。

 また、箇条書きの所でも触れたが、メインキャラに芸能人の出演者が声をあてなかった点は、大いに評価したい。おかげで、声の演技に関してはまったく気にならず、作品に集中できた。正直言って、海底人の首相あたりはどうなるか怪しいと思っていたのだ。
 これは、よほど昨年のパルの評判が悪かったのではないだろうか。そうだとすれば、当ブログで思い切って酷評した甲斐があった。来年以降もこうであってほしい。

 と、いったところで、今回の感想は終わりにさせていただく。
 おまけ映像を見る限りでは、来年の映画はオリジナル作品となりそうだ。詳細はまったくわからないが、楽しみにしたい。

 

2025年の終わりに

 いよいよ、2025年も残すところあと3時間ほど。毎年恒例の年末まとめを書いておきたい。

 思えば、今年も色々なことがあった。その中で、主だった出来事はこのブログにも書いているが、それ以外では10月に開催されたネオ・ユートピア藤子アニメ上映会が印象深い。
 故あって上映タイトルをここで書くわけには行かないが、貴重な作品が観られた上に、日本テレビ版のアニメ『ドラえもん』でオープニング・エンディング主題歌を担当された歌手の内藤はるみさんがゲストとして出演されて、「ドラえもん」「ドラえもんルンバ」を歌われたのだ。まさか、「ドラえもん」でオリジナル歌手の方が歌うのに合わせて、合いの手を入れられるとは思ってもみなかった。
 内藤さんは、他に「夢をかなえてドラえもん」も歌唱。最初のドラえもん歌手である内藤さんが、現在のドラえもん主題歌を歌うというのも非常にレアだ。本当に、素晴らしい時間だった。

 また、藤子関係のイベントでは、大阪を皮切りに関東と関西で開催された「映画ドラえもんの世界展」も印象深い。
 これまで公開された映画ドラえもんについて、絵コンテや設定画などの貴重な資料が展示されており、実に見応えがあった。大阪会場では一部を除いて写真撮影は禁止されていたが、京都会場ではほぼ全面的に解禁されたので、京都では写真を撮りまくってしまった。

 そして、来年の映画ドラえもんは「新・のび太の海底鬼岩城」だ。
 映画公開に合わせて、原作てんとう虫コミックスの映画公開記念スペシャル版や、来年6月には原作の初出完全復刻版が出版されることが、すでに発表されている。本格的な藤子・F・不二雄作品の初出バージョン単行本が出ることで、また今後もいろいろな作品で同様な企画が立てられるのではないだろうか。

 藤子関係以外の話題では、今年もいろいろなテレビアニメで楽しませて貰った。
 アニメオリジナルの作品では『アポカリプスホテル』、漫画原作付きの作品では『瑠璃の宝石』が個人的な今年のNo.1だ。とくに、『アポカリプスホテル』は地上波が関東ローカルの上に無料BSでの同時期放送がないなど視聴環境が厳しかったが、来年1月1日の深夜から、ようやくBS12にてBS無料放送がスタートする。これを機に、より多くの人が観るようになればうれしいものだ。
 ネット配信で多くの新作が観られる時代とは言え、やはり録画保存できる無料放送には安心感がある。

 さて、そろそろこの文も終わりにしよう。
 今年一年、ありがとうございました。来年は私のサイト「はなバルーン倶楽部」が開設から30周年を迎える記念の年であります。せっかくだから何か企画をと思っているが、実現できるかどうかはまだ不明だ。

 それでは、皆さまよいお年をお迎え下さい。

西澤保彦先生、ご逝去

 11月9日に、ミステリ作家の西澤保彦先生が亡くなられた。
 以前から愛読している大好きな作家であり、また64歳とまだお若いこともあって、大きな衝撃を受けた。

 思い返せば、私が西澤先生の作品で最初に驚かされたのは『七回死んだ男』だった。
 タイトルからして「こんなのあり得ないだろう」感が漂っていて、度肝を抜かれる。そして、読んでみると本当に七回死ぬ人物が登場するので、また驚かされるのだ。
 この作品に登場する主人公は、時間の「反復落とし穴」にはまって何度も同じ時間を繰り返す体質を持った高校生で、その彼・大庭久太郎(おおば ひさたろう)が、祖父が殺されているのを何度も目撃するのだ。だから、『七回死んだ男』というわけだ。
 なお、主人公の名は「ひさたろう」と読むが、作中の設定では大概の人が「キュータロー」と読み、しかも苗字が大庭だから略してオバキューと言われる、とされている。作中にタイトルこそ登場しないが、藤子不二雄先生の『オバケのQ太郎』を意識したネーミングであることは間違いない。
 この作品は設定もすごいが、私がいちばん驚かされたのは設定を使っての「読者の騙し方」だった。作品の根幹のネタに関わるので詳しくは書けないが、「こう言う手法があるんだ」と非常に感心させられた。
 昨今は特殊設定ミステリが普通に出されるようになってきているが、そのひとつの「開祖」とでも言うべき作品なので、未読の人にはいまからでも読んでいただきたい。

 

 

 西澤先生の初期作品には、『七回死んだ男』以外にもSF的な特殊設定を盛り込んだ作品が多いが、その中でも私は『人格転移の殺人』『瞬間移動死体』あたりが特に印象深い。『人格転移の殺人』はタイトル通りに人間の人格が入れ替わる状況での殺人事件を扱った作品で、読んでいて頭がこんがらがってくるところもあるが、その中で仕掛けを仕込んでいて、見事という他にはない。『瞬間移動死体』は、テレポーテーションが使える男が殺人を犯そうとする話。ただ、この能力には欠点があり、それがややこしい事件を巻き起こすことになるのだ。
 初期作品でSF設定のないものだと、『殺意の集う夜』が妙に印象的だ。読んでいると、作中人物も作者もやぶれかぶれじゃないかと言う感想を持つのだが、おそらくそれも含めて作者の掌の上で踊らされていたのだろう。

 シリーズ作品では、「チョーモンイン」シリーズが結局未完となってしまったのは、非常に残念だ。
 シリーズが進むにつれて登場人物の意外な設定が付け足されて、さらに意味ありげな新キャラクターも出ていたので、どうやって収拾を付けるんだろうと楽しみにしていたのだが、イラスト担当の水玉蛍之丞先生が亡くなられた後は、ぱったりとシリーズ作品の発表が止まってしまい、そのままになったのだ。
 結局、番外作品『夢幻巡礼』を含めて、多くの謎が残されたままになってしまった。もちろん、一作ずつは単体のミステリとして楽しめるが、シリーズ作品としては、もやもやが残る形になった。

 他にもいくつかのシリーズ作品があるが、近年の作品では『さよならは明日の約束』『夢の迷い路』の2冊にまとまっている連作が、特に好きだ。
 『腕貫探偵』シリーズなどは、けっこう凄惨な事件も扱っていて読んでいてとまどうこともあったが、こちらのシリーズは青春ミステリの趣もあり読後感も爽やかなところがよかった。
 『さよならは明日の約束』は文庫化されているが、2冊目の『夢の迷い路』がなぜか文庫化されていない。結局、私は『夢の迷い路』だけは単行本で読んだが、中途半端な状況ではあるので、いまからでも『夢の迷い路』を文庫化して欲しいものだ。
 また、匠千暁シリーズも多くの作品が書かれたが、中でも『麦酒の家の冒険』が面白かった。ビールをひたすら飲みながら推理合戦を繰り広げるなんて、まったくどんな発想で生まれた作品なんだろう。

 

 

 思いつくままに書いてきたら、長くなってしまった。きりがないので、この辺にしておこう。
 とにかく、この何十年間は西澤先生の作品で楽しませていただいた。ありがとうございました。心より、ご冥福をお祈りします。願わくば、これからも作品が読み継がれますように。