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藤子・F・不二雄大全集 第2期 第2回配本 感想

 ここのところ、当ブログの更新頻度が落ちている。しばらくはこんな状態が続きそうだ。それでも、せめてF全集の感想くらいは書いておきたい。



・『大長編ドラえもん』第1巻

 短編の『ドラえもん』が刊行途中だが、『大長編ドラえもん』も登場。第1巻の収録作品は「のび太の恐竜」「のび太の宇宙開拓史」「のび太の大魔境」の3編。いずれも、何度も読み返した作品なので、本編については特にあらためて書くようなことは思い浮かばない。3編とも名作。これだけで十分だろう。この中であえて一番好きな作品を選ぶならば、「のび太の宇宙開拓史」だ。
 本巻の大全集ならではの注目点は、事前にアナウンスされていた「カラーページ完全再現」なのだろうけど、カラーページは「カラーコミックス」に既にカラーで収録されているので、個人的にはあまりありがたみはない。それよりも私にとってうれしかったのは、単行本未収録の扉絵がようやく完全収録されたことだ。大長編の初出が載っている「月刊コロコロコミック」は、「のび太の恐竜」の掲載された1980年1月号~3月号の三冊は既に持っているが、残り2作品については未入手のままだった。今回、初見だった絵も多いが、いずれも大長編ならではの迫力で見応えがあった。
 大全集は他の単行本との差別化のためか、前述の要素に加えて単行本のカバー絵や登場人物紹介まで、入れられるものは可能な限り全部収録しようとしているようだ。コロコロだけでなく、学年誌に掲載されたカットも載っていたのはよかった。特に、584ページのドラとピー助のツーショットは新鮮な組み合わせで、いい感じだ。
 この調子なら、第2巻以降も未収録の扉絵やカットには期待できそうで、楽しみだ。また、大長編ドラだけでなく、第3期以降で出るであろう『モジャ公』でも単行本未収録の扉絵は相当数存在するので、こちらもぜひそれらの絵を収録して欲しい。



・『少年SF短編』第1巻

 こちらも、大長編ドラと同様に、これまでの単行本に無かったカラーページがそのまま収録されている。本巻では、特に「流血鬼」2色カラー部分は血が飛び散る場面に迫力があって、なかなかいい。ただ、白黒の描き足しコマがカラーページに混ざってしまっているのは、読んでいてちょっと気になってしまう。最初にに収録されたてんとう虫コミックスが全て白黒ページだったから、仕方がない事なのだが。おそらく、描き足しによって削除されたコマもあるだろうから、いずれ初出版もチェックしてみたい。
 巻頭口絵には、これまでに出た単行本のカバーイラストが収録されているが、そのなかで藤子不二雄ランド版『少年SF短篇』から、第4巻「おれ、夕子」の絵だけが収録されているのは注目すべきところだ。「おれ、夕子」の巻が出た頃のFFランドは、大半のカバーイラストがF先生の絵ではなく、特にこの巻だけF先生が直接手がけていたのだ。その絵を漏らすことなく収録した事は評価したい。
 大長編ドラと同様に何度も読んでいる作品群なので、本編の感想としてはあらためて書くべき言葉が見つからないのだが、歳を取ってしまった今になって身にしみるのは「未来ドロボウ」だ。「あのころの一日一日が、どんなに光り輝いていたか……」のセリフに共感できるのは、本来の読者層の「少年」よりは、「あのころの一日一日」を振り返る歳になってからだと思う。
 もちろん、他の作品も名作揃い。読み応えのある一冊だ。



・『パジャママン』

 何と言っても、表題作『パジャママン』の初単行本化、これにつきる。
 『ミラ・クル・1』の原型となった作品と言われているが、初めて全話を通して読んでみたら『ミラ・クル・1』よりもこちらのほうが面白かった。ページ数が少ない分、『パジャママン』の方が話はシンプルだが、パジャマの力を使っての悪人退治は痛快で、話のバリエーションも多彩で飽きさせられない。このような作品が今まで単行本化されていなかったことが驚きだ。
 巻末の特別資料室によるとテレビアニメの企画も進めていたようだから、そちらがポシャってしまったことや、ページ数の関係で単行本にはしにくかったのだろうか。いずれにしてももったいない話だ。アニメ化が実現して連載当時に単行本化されていたら、この作品の知名度は全然違っていただろうに。
 それにしても、対象年齢が低い作品の割には、と言うか低いからこそなのか、登場する悪人は意外とリアルに描かれているのは凄い。特に、人さらいの登場がやけに多くて、途中からは「またか」と思うようになってしまった。まあ、パジャママンがそんな恐い悪人を相手にして活躍するからこそ、ヒーローものとして面白くなるのだろうけど。
 悪人と言えば、64ページの「おれはゆうべからなにも食べてないんだ」のコマの、ピストル男の顔には爆笑した。変な顔は『ドラえもん』などでも時々見られるが、F先生でなければ描けない絶妙な変さがたまらない。今回の場合は、よだれの垂れ具合が絶妙だ。
 昭和40年代後半の幼年向け作品にはまだ埋もれている作品もある。それらの多くは来年1月発売の『モッコロくん』に収録されるはずなので、こちらも楽しみだ。「パン太くん」は、代筆の連載第2回以降は、はたして収録されるのだろうか。『Fの森の歩き方』では1月号から4月号の連載となっていたので、2回目以降もネームはF先生と言う判断のようだが。